わが友マキアヴェッリ(3) [この本!!]
こんにちは~(*^_^*)/
現代社会への示唆に富んだ塩野七生さんの作品は、読むたびに新しい発見がありますね。- 作者: 塩野 七生
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2010/04/24
- メディア: 文庫
- マキアヴェッリ失職からその死までを、フィレンツェの滅亡と併せて詳細に書かれている。この不遇な時期、マキァヴェッリ本人が強く復職を望みながらついに果たせなかったのだから不遇だと思われるが、塩野氏はこの時期のマキアヴェッリは不幸とは断じられないと書く。
- たしかに、『君主論』,『政略論』,『戦略論』などの著作が書かれたのはこの時期であるし、喜劇作家としても成功している(恥ずかしながら、ルネッサンス喜劇の傑作『マンドラゴーラ』を書いたのがマキアヴェッリであるとは知りませんでした)。
- 本書には、多くのマキアヴェッリの友人が取り上げられている。
- その一人、『イタリア史』を記したグイッチャルディーニが家族や子孫に宛てた内々の『覚え書』から、現代でも通じる一節が引用されています。
- ・「宗教を敵にまわしてはならない。また、神と関係することすべては、敵にまわさないように心がけるべきである。なぜなら、この対象たるや、馬鹿者どもの頭に対して、あまりにも強力な影響力をふるっているからである。」
- f^_^;
宗
教にも色々あって、進歩的知識人を名乗る方々には、リベラル教が、日教組やマスコミなどには、平和を念仏のように唱えていれば平和が訪れるという「平和念
仏教」や詰め込み教育をなくせば子供が幸せになるという「ゆとり教育教」などが蔓延していますね。事情を知らない人たちには耳障りが良いだけに、始末に負
えません。
- 正論を唱えると袋だたきに遭うのは、16世紀でも21世紀でも変わらないようです┐(´ー`)┌
- ・「神に願い給え、君が常に勝者の側にあることを。なぜなら、勝者の側にあれば、君には何の功績が無くても報われるが、反対に敗者の側に立ってしまうと、いかに功績があっても非難されないではすまないからである」
(-o-;)
身
も蓋もない表現ですが、「勝てば官軍」
の理です。マキュアヴェッリは、書記官としてだけでなく外交官としても有能さを発揮しましたが、政権が交代すると、その有能さは裏目に出て排斥されること
になりました。労働組合出身者が多く、経営感覚のない閣僚が多数を占め、この半年で国家運営や経済政策に無能さをさらけ出した民主党政権ですが、こと官僚
の活用という点では、マキュアヴェッリを追い出したフィレンツェ新政権のように、自民党政権の色を消すのに熱心なだけで、有能な官僚を登用することもな
く、日本沈没に向けてまっしぐら・・・・なんてところは、本書のフィレンツェと同じですね。
マキアヴェッリは「国を守るには力と思慮の双方ともが不可欠であり、とくに自衛力を持たない国家は、破壊と隷属に終わる宿命を持つ」と、フィレンツェの終身大統領ソデリーニへの答申の中で断言しています。
ま
た、『君主論』で「時代が変われば統治の方式もそれに応じて変わる必要がある」と説き、『政略論』では「共和政体を維持したければ、ときには共和制の精神
に反することもあえてする勇気を持たねば、共和制そのものを潰してしまう結果になる」と説き、『戦略論』で市民兵制度確立の必要性を論じています。
マキアヴェッリの主張は、「非現実的机上の空論」として何一つ採用されず、フィレンツェ共和国はマキアヴェッリの死の直後に滅亡しました。
ああ、日本もスペインに武力支配されたフィレンツェのように、Chinaの拡張戦略に飲み込まれて東のチベットにならなければ良いのですが・・・・この第三部の解説も、佐藤優氏が書いています。
この佐藤氏に対してのマスコミの報道は、どれも敵意に満ちたものでしたが、この解説を読んで、それらが為にするものであったことがよく分かります。優秀な官僚を育て、権限を与え、采配をふるわせながらもコントロールすることの必要性と難しさを感じます。
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