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解剖医 ジョン・ハンターの数奇な生涯 [この本!!]

こんにちは~ (*^_^*)/

本日は、医学部を目指す皆さん,医学に興味のある皆さん,そして献体について考えている皆さん

解剖医ジョン・ハンターの数奇な生涯

解剖医ジョン・ハンターの数奇な生涯

  • 作者: ウェンディ ムーア
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2007/04
  • メディア: 単行本    をお薦めします

Amazonで、興味深いタイトルとレビューに興味をひかれて衝動買いしてしまったこの本は、第一章を読み始めると一気に読み終えてしまうほど面白いモノでした。この本は、単なる伝記物や英雄伝ではありません。

この本を読むと、献体が医学の発展に 及ばす影響の大きさ、必要性がよく分かります。 

墓泥棒など闇の世界に手を染めなければ解剖するための死体が手に入らなかった時代、キリスト教の保守性と古代からの蒙昧な治療術が幅をきかしていた時代、そんな時代に解剖を通してダーウィンより70年も前に進化論を確信していた18世紀イギリスに生きた一人の開明的な外科医。学校教育もろくに受けていない主人公が、外科医として成果を出し実績を積んで、学会で確固たる地位を確立し王室医まで上り詰める。伝統や通説を無視し、自分の頭で考え,仮説を立て,実験し検証して、技術を確立する主人公の姿勢は、科学者のあるべき姿と言って良いでしょう。
主人公の屋敷は「ジギルとハイド」のモデルとなり、本人はドリトル先生のモデルになった、まさにタイトルの通り数奇な一生です。

この本を読むと、19世紀までのイギリスの医学がいかに稚拙なものか、いかに化学の発展が一部の人間の好奇心と探求心に支えられているかが分かります。そして、主人公の死後のエピローグから、科学進歩を阻害するものは、生身の社会のドロ ドロとした偏見や嫉妬であることも、よく分かります。

また、医療倫理云々よりも医師の実利主義の方が、患者を幸せにする場合がある事実も書かれています。
主人公は、金持ち相手には高い報酬を要求し、貧乏人はただ同様で治療をしますが、それは実験材料として有用だと思ったからであり、別に貧乏人に同情したわけではありません。貧乏人としては、新しい医療行為の実験台になる代わりに、当時としては最先端の治療を受けられるわけです(今だったら、人権団体とやらが「人体実験だ」と大騒ぎするでしょうね)。

主人公の死後、その業績の多くが闇に葬られ、せっかく序についた近代医学は足踏みをさせられてしまいますが、主人公の思想はその弟子たちに受け継がれ、ジェンナーを筆頭に素晴らしい展開を見せるのがせめてもの救いです。
科学は必ずしも直線的に進歩したわけではなく、逆行するような時もしばしばありますが、医学についても同様なのですね。

ちなみに、コミックもあるんですね。

解剖医ハンター 1 (リュウコミックス)

解剖医ハンター 1 (リュウコミックス)

  • 作者: 吉川 良太郎
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2009/11/13
  • メディア: コミック

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