個別指導塾って・・・・ [C2J-東大化学 日記]
今朝の新聞の折り込みチラシで、
「個別指導は先生で決まる!」っていうのが、入っていました。
東京個別指導学院の広告ですが、「どんな凄い先生を集めているのかな?」と講師紹介を見たら、
明治大学から東大までの大学生のバイト講師でした。
メインの学習指導を他で受けていて、安価な補完の手段として「大学生のバイト講師」に依頼するのはありでしょう。
質問することのない問題演習の時間まで、べったりと優秀で高価な先生を貼り付けておくのは、莫大な費用が掛かりますから、経済的な負担が大変です。
また、問題演習の監督くらいなら、年齢の近い大学生のバイトでも十分につとまります。
しかし、学習内容を質問する相手となると話は別です。
正直言って、学習が上手くできなかったから、明治大学などに入っているのですよ。
(都立高校の生徒などを教えた経験から、日大や明大レベルの大学に入る層は、受験生時代に
概して勉強に不熱心で学力も高くないと考えて良いでしょう)
自分の勉強の仕方も確立できなかった大学生に、「勉強を教えて貰う」のですか?
ここで、学生バイトとプロの違いを如実に表す実例があります。
某さなる予備校では、@willなる独習用のコンテンツを制作中です。
映像付きのテキスト授業の方は、きちんとした指導実績のある予備校出身のプロ講師が
担当しているので、質は良いと思います。
さらに、テキスト教材に掲載された練習問題や演習問題の他に、自習用の単元毎の演習問題を
用意しています。
が、その自習用の問題を、テキスト教材を作成したプロに依頼せずに、学生バイトに作らせました。
テキスト教材に掲載されている問題を、少しずつ変えて(例えば数値を変えるとか)問題をたくさん
作るだけなので、学生バイトでも十分だと考えたのでしょう。
ところが、練習・演習問題というのは、数値を変えるだけでも問題の意味が変わってきたり、
問題が成り立たなくなってしまうことが多々あるのです。
指導経験が豊富で学識のあるプロならすぐに気づく問題点にも、学生バイトの能力ではなかなか
分からないことが多々あります。インターネットで検索しても、疑問点に100%答えてくれるわけでは
ありませんから、大学生の知識レベルではとうてい答えのでないものも多いのです。
そのため、プロに頼んだら2分で解決する修正が、学生バイト(とは言っても前出の東京個別指導学院
よりはもっと学歴が高い学生が多いようですが)が1月も掛かって3回も4回も校正を行っても間違い
を修正できなかった・・・・・なんてこともしょっちゅうです。
それは、学生バイトが一生懸命やっているか否かの問題ではなく、能力の問題なのです。
時間単価1500円で1月かかって教えて貰う内容が、時間単価1万円で5分で片付くとしたら、
どちらの方が本当の意味で「お値打ち」なのでしょう?
個人的には、
能力を必要とする質問のために、Z会などの教室に通うとか指導実績のあるプロの家庭教師や
個別指導を利用する。
問題演習の監督やちょっとした教科書レベルの質問をするのには、廉価な学生バイトの個別指導を
利用する。 というのが良いのではないか、と思いますね。
Ⅲ期 有機化学の勉強法 [C2J-東大化学 日記]
こんにちは~ (*^_^*)/
有機化学の講義について
・予習しても授業について行けない。
・知らない事が一杯出てきて、よく分からない。
・参考書を読んでも理解できない。
との質問を受ける事があります。
高校2年生では、高校での授業の進み方によっては、
Z会の講義範囲がまったくの未習という事もしばしば起こります。
特に、理論化学の化学Ⅱ分野(化学平衡,結晶,気体の法則,溶液の性質など)や
有機化学の化学Ⅰ分野(脂肪族化合物,芳香族化合物)は、高校で未習であったり、
これから習う学校も多いでしょう。
某O高は、化学Ⅰの熱化学も未習だったりしますから・・・・・ (汗)
C2Jは、テキストには「予習前提」との前書きがありますが、
化学は「復習」第一の科目です。
梧桐が高校生の時に予備校で大西憲昇師匠の化学を受講した時も、
「講義内容のの70%は未知の内容」だったと記憶しています。
特に、無機化学は小中でも理科の中で触れますが、
有機化学についてはほとんど新規なのですから、最初は「分からなくて当たり前」です。
ひたすら「復習」して「授業で習った事を整理して覚えていけば良い」のです。
梧桐が高校生の時にやった方法は、
・受講前にテキストの「問題文だけは読む」(まったく解けなくても文章は読む)
※ 未習分野は解説を読んだだけでは理解できないので、
テキストの[演習]問題文を読んでおくだけで十分。
↓
・テープに録音しながら受講する。下書き用のノートに、板書だけでなく話も書く。
下書き用のノートには清書する必要はない。できるだけ素早く、内容は正確に。
※ 録音されるのは好きではないが、板書を写すのに精一杯で、大切な説明を
聞き落とす場合が多いので、特に未習分野は講義を録音しておくと良い。
↓
・受講後にバッチリと復習する。
① ノートの整理(テーマ毎にページを替えて要点を整理する)
要点が何か分からない時 → 講義のテープを聴きながら整理する
参考書を見ながら整理する
② 解説された問題をコピーしてノートに貼る
コピーを左ページ,解説を右ページとして見開きで、解き方等を書き込む
③ 高校で使っている問題集(「リードα」など)の同じ範囲の問題を解く
どこをやっているか分からない場合は、受講直後に講師に質問しましょう。
一昨年、C3Jの受講生で、毎回「リードα」と「重要問題集(数研)」を持って
「どの問題をやれば良いか」質問に来ていた生徒がいました。
毎回、指示された問題をきちんとやって、結果、合格しましたよ。
④ 問題を解いて分からないところが出れば、参考書で調べ、それでも分からな
ければ講師に質問する。
※ ①~④の自学自習のプロセスで実力が付くのです。
ここで、未習分野の参考書としては、「化学の新研究」は人によっては適合しない
場合があります。(人それぞれ好みや相性がありますから・・・・)
そんな場合は、でっかい本屋へ行って、参考書を端から立ち読みして見比べて下さい。
そのとき、実際に調べたいモノを調べるつもりで見比べる事です。
調べようとしているモノについて、「自分が理解し納得できる」参考書が、現在の
あなたに最適の参考書です。
参考書選びに手を抜いてはいけません。
使えない参考書ばっかり増えても意味ないですから・・・・。
さて、有機化学の具体的な勉強法ですが、
① 誘起化合物の名称と構造を覚える。
英単語と一緒です。まず、有機化学に出てくる「単語」を覚えましょう。
まず、名前と構造だけで良いですから、覚えましょう。
※ 組織名の付け方を覚えておくと、色々と楽が出来ます。
慣用名は覚えるしかないです。
炭化水素は最低C10まで。直鎖モノカルボン酸(脂肪酸)はC6まで。
② 有機化合物の基本的な性質を覚える。
脂肪族は官能基による反応性を中心に覚える。
芳香族は試薬による置換基の変化を覚える。
を、初心者はやるべきです。
単語帳形式でやれば、基本的なところは覚えられます。
理論的なところは、それから補強すればよいでしょう。
ちなみに、
やっとターゲット1900の無機化学バージョンが出来ましたので、
これから有機化学バージョンの作成にとりかかる予定です。
夏までには完成させて、店頭に並ぶようにしたいですね。
ちなみに書店で見つけた有機化学超初級の入門書がこちら
マンガでわかる有機化学 結合と反応のふしぎから環境にやさしい化合物まで (サイエンス・アイ新書)
- 作者: 齋藤 勝裕
- 出版社/メーカー: ソフトバンククリエイティブ
- 発売日: 2009/10/19
- メディア: 新書
Ⅲ期 第5回 カルボン酸 [C2J-東大化学 日記]
今朝は雪がパラパラと・・・・
「耐雪梅花麗」と言いますから、受験生の皆さん、あと一息、頑張って下さいね。
さて、
「カルボン酸」 です。
・カルボン酸 = カルボキシ(ル)基(示性式 -COOH) を持った化合物
・カルボキシ(ル)基 = カルボニル基(-CO-) と ヒドロキシ(ル)基(-OH) からなる基
です。
カルボン酸のIUPACによる組織名は、「C数が等しいアルカン + 酸」ですから、簡単です。
例えば、 H-COOH ギ酸 メタン酸
CH3-COOH 酢酸 エタン酸
C2H5-COOH プロピオン酸 プロパン酸
C3H7-COOH 酪酸 ブタン酸 といった具合です。
ちなみに、高分子ではカルボキシ(ル)基を2つ持つ「ジカルボン酸」が出題されますから、
C数が10までは覚えておきましょう。
また、カルボキシ(ル)基はヒドロキシ(ル)基を含んでいますが、
それとは別にはヒドロキシ(ル)基を有するカルボン酸を「ヒドロキシ酸」といいます。
入試でメジャーなのは、
CH3-CH(OH)-COOH 疲労物質にも成る「乳酸」 「α-ヒドロキシ プロパン酸」
HOOC-CH(OH)-CH2-COOH リンゴから見つかった「リンゴ酸」
HOOC−CH(OH)−CH(OH)−COOH ワイン樽の内側に石状にくっつくので「酒石酸」
などですね。これらは全て、不斉炭素を持っている為、光学異性体があります。
カルボン酸は、オキソ酸の一種です。
オキソ酸は全てヒドロキシ(ル)基を持っており、それに電子求引性の基(N.G=ネガティブグループ)が結合して、ヒドロキシ(ル)基の酸素原子がプラスに帯電し、水素が水素イオン(プロトン)となって電離します。
電子求引性の基が強ければ強いほど、強い酸になります。
例えば、酢酸は電子を押す基であるメチル基が付くため、酸性が弱くなりますが、
メチル基の水素を全て塩素で置換したトリクロロ酢酸は強酸になります。
塩素が炭素から電子を引き寄せるのでCCl3-が強力な電子求引性の基になった
からです。
硫酸にはスルホニル基(-SO2-),硝酸にはニトロ基(-NO2)という
強い電子求引性の基が付いています。
にんじんジュースの威力 [C2J-東大化学 日記]
近頃、某予備校の新宿教室で密やかに「キャロットジュース」が流行っています。
梧桐もず~っと二十代だと信じて疑っていなかった中学部の某英語講師。
彼は、常日頃から「ニンジン,リンゴ,レモンをジュースにして毎日飲んでるけど良いですよ」と
周囲に薦めていました。
正直、「フルーツベジなんかと同じだろう」と思っていたので、気に留めていませんでした。
ところがギッチョンチョン。
先日、冬期・直前講習の打ち上げの席で、彼のアラフォーであることが判明。
それまで教室なんかでタメ口していたリアル二十代の講師は大恐縮、
女性講師は「私も早速今日から飲もう」ということになって大盛り上がり。
彼は、アンチエイジングのインストラクターとか始めたら大当たりするんじゃないかな。
しわ一つ無い彼自身の顔が、アンチエイジングの実例だから・・・・
梧桐も、ジューサーを買って飲み始めましたよ(笑)
・市販の野菜ジュースでは駄目
・ニンジン2本,リンゴ半分,レモン1個をジュースにする
というだけ。
梧桐は、リンゴは濃縮還元100%で、レモンはポッカの濃縮還元100%で代用しています。
簡単でしょ。
摺り下ろした繊維も一緒に飲んでますが、お通じも一発で良くなりますし、体調良いですね。
「キャロットジュース」お薦めです。
Ⅲ期 第4回 アルコールの構造決定 [C2J-東大化学 日記]
今日は風が強かったですねー。
昔は、この乾燥した強い風(空っ風)で、東京(江戸)は、しばしば大火事になったんですよねぇ。
「火事と喧嘩は江戸の花」っていう言葉があるくらいですから・・・
フェーン現象ですね。
さて、
有機化合物の構造決定では、
システマティックつまり理論的に組織化・系統化された手法で問題に取り組む事が必要です。
まず、
Step1.分子式 を分析しましょう。
① 不飽和度の計算 不飽和度Uは(π結合)または(環状構造)の数を表す数値で
官能基や構造を考える場合の目安になります。
② 分子式のタイプ 酸素の数,不飽和度などから、分子のタイプを考えます。
炭素と水素のみ = 炭化水素
酸素が1個,不飽和度が0 = アルコール,エーテル
酸素が2個,不飽和度が1 = エステル,カルボン酸 が多い
その他
③ 炭素数 炭素が5個以下であれば、全ての異性体を書き出した方が
問題を解くのが早いです。
Step2.官能基の決定 をしましょう。
今回は、酸素を1個含む不飽和度0の化合物の構造決定について考えます。
① ナトリウムNaとの反応
する(水素を発生) = ヒドロキシ(ル)基を有するアルコール
しなし = ヒドロキシ(ル)基を持たないエーテル
まず、アルコールかエーテルかを見分けます。
エーテルなら、全ての異性体を書き出して、問題にあわせて答えを書きます。
② 二クロム酸カリウムでの酸化
されない = 第3アルコール
C4なら2-メチル2-プロパノール,C5なら2-メチル2-ブタノールしかありません。
③ 酸化生成物の性質
還元性あり or 酸性物質が生成 = 第1アルコール
還元性のない中性物質 = 第2アルコール
還元性がある(銀鏡反応やフェーリング反応が陽性)のはアルデヒドです。
酸化により生じる酸性物質はカルボン酸です。
④ ヨウ素と水酸化ナトリウム水溶液とともに加熱
黄色結晶析出 = CH3-CH(OH)-の構造有り
黄色の固体はヨードホルム(トリヨードメタン)です。
C4なら2-ブタノール,C5なら2-ペンタノールと3-メチル2-ブタノールが
該当する物質(どちらも第2アルコール)です。
ちなみに、C5の第2アルコールのうち、ヨードホルム反応陰性なのは、
3-ペンタノールだけです。
⑤ 沸点
異性体の中で最も沸点が高いのは、直鎖で末端に官能基がついている構造です。
C5では、1-ペンタノールになります。
⑥ 分子内脱水(濃硫酸と加熱)
しない = ヒドロキシ(ル)基の付く炭素の隣の炭素に水素がない
分子内脱水は、ヒドロキシ(ル)基とヒドロキシ(ル)基のついた炭素の
隣の炭素についている水素が水分子になって脱離して、二重結合が生じる
反応です。
C5で該当するのは2,2-ジメチル 1-プロパノールです。
このように、ポイントを抑えていけば、短時間で全ての構造を決定する事が可能です。
他にも、キーワードがありますので、問題演習を通じて解き方を体得していきましょう。
構造決定は、得意になるほど解答時間の短縮できる、勉強の時間の投資価値のある分野です。
寒い日の勉強には [C2J-東大化学 日記]
地球温暖化とは言いながら、寒いですねぇ。
二酸化炭素の排出量増加よりも、畜産の増加によるメタンガスなど1分子当たりの温室効果が二酸化炭素より遙かに大きい温室効果ガスの増加があるのに、二酸化炭素だけが地球温暖化の原因であるかのような考え方には大いに疑問がありますね。
というより、単に省エネ技術を発達させた日本から金と技術をせしめるための詭弁に過ぎないと思いませんか?
もちろん、
「環境に優しく」=「省エネにいそしむ」のは、エネルギー自給率が低い
資源小国の日本の国民としては必要な姿勢ですね。
さて、大気中の二酸化炭素が最も増加するのは、
皆がそろって暖房し、植物が枯れて光合成が出来ない冬です。
日本の冬は、ロシアやカナダに比べればマシですが、
さすがに暖房無しに過ごすには厳しいですね。
ベランダに面した開口部である窓から、ガンガン冷気が入ってきます。
部屋全体を暖めようとして石油ストーブやガスストーブを使えば直接家庭から、
電気ストーブやエアコンを使えば発電所で、二酸化炭素が放出されるわけです。
これらの温風による暖房は、勉強には向かない点があります。
対流のせいで、天井付近は暖かくなるのに床には冷気が残ったままで、
頭は暑くてボーっとして眠たくなったり、足下が寒くてしかたなかったり、と
勉強がはかどらないこともしばしばですよね。
頭寒足熱とはまったく正反対ですね。
床暖房ができれば、それに越した事はありませんが、設置費用も高く設置までに時間がかかります。
ならば、足下さえ暖かくなるものはないか、と探したところ、ありました。
メトロ電気工業というこたつ屋さんの作ったフットヒーターです。
正直、形はお世辞にも良いとは言えませんが、使ってみると足下がポカポカして、例え部屋の中が寒くても苦になりません。
逆に、頭寒足熱で勉強がはかどるかも・・・・・。
無駄にエアコンで部屋全体を暖める必要がないので、消費エネルギーもエアコンや電気ストーブよりはるかに小さくて済みます。
MFH-320は、けっこう使い勝手が良く、消費電力も暖房器具としては比較的小さい環境にも優しい暖房器具だと思いますよ。
Ⅲ期 第3回後半 アルコール [C2J-東大化学 日記]
今回はアルコールの話です。
アルコールと言えば、やっぱりお酒ですね。
梧桐もカクテルとか好きです。晩酌はしませんが・・・・・
高校生はもちろん未成年ですから、お酒を飲んではいけません。
未成年飲酒禁止法は大正時代の法律で、長らく改正されてなかったので「罰金20円」って覚えていたんですが、非行対策のために1999年から3度も改正されて罰則が強化されていますから要注意です。
お酒は酒精(エタノール)を含む水溶液で、飲酒により
(1) 顔が赤くなる(アルデヒドの血管膨張作用による)。
(2) 酔って思考能力が低下し、感情抑制が利かなくなる(事故や喧嘩などを起こす)。
(3) 血中濃度が0.4%を越えると昏睡状態に陥り、急性アルコール中毒となる。
ので、ほどほどにすべきですね。
大学の新入生が暴飲して、急性アルコール中毒で病院に担ぎ込まれる事がありますが、
上下垂れ流しですから助かったとしてもみっともないですよ。無茶は止めましょう。
エタノール(エチルアルコール)C2H5OHを摂取すると、アルコールデヒドロゲナーゼ(水素Hを奪い取る酵素)によって酸化され、二日酔いのモトである有毒物質のアセトアルデヒドCH3CHOになり、さらにアルデヒドデヒドロゲナーゼによって酢酸CH3COOHへと代謝されます。
ちなみに、
メタノール(メチルアルコール)CH3OHを飲むと失明するなどの強い中毒症状が起こります。
メタノールを飲むと、
(1). 酔う(ただしエタノールを飲んだときより酔いがまわるのは遅い)
(2). 反応が遅いため、12 ~ 24 時間の潜伏期間がある
(3).潜伏期間の後、中枢神経系が冒され、頭痛・めまい・不安感などの症状を呈し、
さらに意識混濁・昏睡・痙攣・急性呼吸不全・ひどい場合には死に至る。
死に至らなくても、網膜細胞にあるアルコールデヒドロゲナーゼ
(ビタミンAを酸化するため)によりHCHOが目でも生成するため、
失明することが多い。生化学的症状としては、アシドーシス(酸血症)を起こす。
のできわめて危険です。
Chinaやベトナムなどで、メタノールの入ったお酒を飲まされて犠牲者が出ていますから、
海外旅行でお酒を購入するときには注意して下さいね。
エタノールやメタノールは無極性基の炭化水素基(アルキル基)が小さいため、
水に任意の割合で溶けます(つまり溶解度が無限大)。
炭化水素基が大きくなるにつれて水に溶けにくくなります。
アルコールで覚える事は、
① 異性体では直鎖アルコールの沸点が高い
② Naと反応してアルコラート(アルコキシド)を生成する
ナトリウムアルコラートは、水と反応するとNaOHを生じるので強塩基性物質である。
③ 濃硫酸と加熱すると脱水する。
エタノールは130~140℃で分子間脱水してジエチルエーテルを生じ、
160~180℃で分子内脱水してエチレンを生じる。反応温度も覚えよう。
④ アルコールの級と酸化生成物の違い
第1アルコールは還元性の強いアルデヒドを経てカルボン酸になる。
第2アルコールは中性のケトンになる。
第3アルコールは酸化されにくい。
⑤ 酸素酸(オキソ酸)と脱水縮合してエステルを生じる。
例えば、カルボン酸R-COOHとは、果実臭の芳香があるエステルR-COO-R'を生じる。
硝酸HNO3とは、硝酸エステルR-ONO2を生じる。
⑥ ヨードホルム反応 他
がありますので、ノートに整理して覚えて下さいね。
Ⅲ期 第3回前半 炭化水素の構造決定 [C2J-東大化学 日記]
C2JもⅢ期に入って、はや3回目
第3回のテーマは2つあります。
1つは、前回軌道の混成で時間を使い切ってしまったので、
できなかった炭化水素の分子式の決定[演習30-1の(3)~(5)]と構造決定[プリ掲載]ですね。
もう1つは、アルコールの基礎と主な反応です。
今回は、人によって問題を解く時間に大差の出る「有機化合物の構造決定」についてお話しします。
有機化合物の構造決定は、訓練によって大幅な時間短縮が可能なものの1つです。
構造決定に必要なことは、
① 官能基の性質 を覚える事
例えば、「臭素水の脱色」といえば「π結合あり」など。
単語帳のようなカードにまとめて覚えると良いでしょう。
② 化合物特有の反応 を覚える事
例えば、「飽和炭化水素で水素が付加する」のは「シクロブタンとシクロプロパン」のように。
そうすると、①と②を組み合わせて、「臭素水を脱色しないが水素が付加する化合物」といえば
「シクロブタンとシクロプロパン」だと分かりますよね。
③ 分子式から異性体を書き出せるように訓練する事
例えば、C7のアルカンの異性体が何個あるか骨格異性体を全て書き出す練習をするとか、
C4H8の分子式を持つ化合物いくつあるかについて
鎖式炭化水素(アルケン)と環式炭化水素(シクロアルカン)でそれぞれ書き出す練習をする
などです。
その際に注意すべき事は、
書き出した異性体に取りこぼし(見落とし)のないようにすることと、
重複して同じ化合物を何個も書かないようにすることです。
練習を繰り返して、異性体チェックに慣れて下さい。
慣れてくると、構造決定の問題を解く時間が劇的に短くなりますよ。
入試では、構造決定を短い時間でこなせるようになれば、非常に有利になります。
最初は、やり方を指導してもらうと良いでしょう。
やり方を覚えたら、問題数をこなして得意になっていきましょう。
Ⅲ期 第2回 有機化学 炭素の結合 [C2J-東大化学 日記]
反応性が乏しい飽和炭化水素と違って、
反応性が高い不飽和炭化水素は、入試問題でも構造決定などがよく出題されます。
不飽和炭化水素の性質を理解するには、先ずσ(シグマ)結合とπ(パイ)結合の違いを知っておく必要があります。
簡単に言うと、
σ結合 = 原子核と原子核をまっすぐに結んだ結合
(原子核と原子核を結んだ線を結合軸と言います。)
π結合 = 原子核と原子核を結ぶ線から離れたところで生じる結合
です。
炭素や酸素などの典型非金属元素は、最外殻にある価電子を使って共有結合します。
最外殻は単純な球殻ではなく、1個の球形をしたs軌道と3個の亜鈴(ダンベル)型をしたp軌道という4個の電子軌道からできています(d,f,g,hの軌道はここでは使いません)。
炭素原子は、最外殻のL殻に4個の価電子を持ち、それが2個以上の原子と結合する時、s軌道と3つのp軌道に1個ずつ不対電子として入ります。
s軌道とp軌道は、形もエネルギーも全く違う為、このままでは等価な結合をすることが出来ません。
そこで、軌道の混成をして、いったんs軌道もp軌道もつぶして、新しく全く等価(同形・同大・同エネルギー)の混成軌道をつくるのです。
混成軌道の数は、炭素と結合する原子の数によって決まります。
① 相手の原子が2個 のとき
s軌道1個とp軌道1個 から 2個の混成軌道(sp混成軌道) をつくります。
混成軌道は点対称に伸びるので、2個のsp混成軌道は直線状につながります(結合角180°)。
② 相手の原子が3個 のとき
s軌道1個とp軌道2個 から 3個の混成軌道(sp2混成軌道) をつくります。
混成軌道は点対称に伸びるので、3個のsp2混成軌道は
先端が正三角形をつくるようにつながります(結合角120°)。
ちなみに、sp2とは、sppのことでpの2乗ですね。
③ 相手の原子が4個 のとき
s軌道1個とp軌道3個 から 4個の混成軌道(sp3混成軌道) をつくります。
混成軌道は点対称に伸びるので、4個のsp3混成軌道は
先端が正四面体を構成するようにつながります(結合角109.27°)。
炭素の場合、この混成軌道が相手の原子核にまっすぐに向かっていくσ結合になります。
メタンCH4は、
4つのsp3混成軌道が水素Hのs軌道とσ結合して、正四面体構造の分子になっています。
さて、エチレンC2H4はどうでしょうか?
エチレンの炭素Cは、2つの水素Hと1つの炭素Cの合計3個の原子としか結合していません。
したがって、sp2混成によって1つの炭素は3つのσ結合をつくります。
ということは、炭素1個あたりp軌道が1個余りますね。
この余ったp軌道同士が、横向きにくっついたのがπ結合です。軌道の形はリンク先を見て下さい。
このπ結合ができるために、σ結合1本だけ(C-Cの単結合)なら結合軸廻りに自由に回転できたものができまくなって、シス・トランス異性(幾何異性)ができたり、付加反応が起こったり、共鳴したりします。
Ⅲ期 第1回 有機化学 炭化水素の名称 [C2J-東大化学 日記]
アルカンAlkaneの名称は、
側鎖の位置 - 側鎖の数 側鎖の名称(アルキル基) 主鎖の名称(アルカン)
のように命名します。
例えば、 CH3CH2C(CH3)2CH(CH3)CH2CH2CH2CH3 なら、
3,3,4 - トリメチル オクタン
(端から数えて3番目の炭素に2個,4番目の炭素に1個の計3個(トリ)のメチル基が付いた
炭素数9のアルカンであるオクタン) となります。
主鎖は最も長い炭化水素とします。
ただし、二重結合やヒドロキシ(ル)基などの官能基がある場合は、官能基が付いている炭素鎖を主鎖とします。
不飽和結合のうち、
炭素間二重結合(C=C)を持つ鎖式炭化水素は、アルカンAlkaneの語尾-aneを削って
二重結合を表す語尾の-eneを付けます。
二重結合が1個ならアルケンAlkene,二重結合が2個ならアルカジエンAlkadieneとなります。
炭素間三重結合(C≡C)をもつ炭化水素は、アルカンAlkaneの-aneが-yneになり、アルキンAlkyneといいます。
なお、名称には慣用名と組織名があり、
アルキンの慣用名は、アセチレンを基本とした名称が多いですね。
慣用名 組織名
CH3-C≡CH メチル アセチレン 1-プロピン
CH2=CH-C≡CH ビニル アセチレン 1-ブテン-3-イン
番号は二重結合の位置を優先(数値が小さくなるように)してつけます。
炭化水素の名称は、入試でも表記しなければならないことが多いので、
正確に名付けられるようにして訓練しておきましょう。
名称については、C2Jで配布した、演習29-1 対応プリント にも掲載してあります。